早寝早起き/4月
4月は仕事が忙しくあっという間だった。
この間に、無理のない早寝早起きを実現した。私としては大変な偉業。
23時に寝ているが、この調子で22時には寝てやりたいものだ。
合間を縫って観たものなど。
今回もまとめて書くけれど、これ以降はもう少し細かく日記スタイルにしていきたいな。忘れちゃうし……。普通の日記も書きたい。
劇場版アルゴナビス『AXIA』
私は劇団「少年社中」が好きなので、その主宰である毛利さんが手がけるメディアミックスプロジェクトとしてアルゴナビスのことはゆる~く知っている。アニメを観たのと、ジャイロアクシアの小説を読んだのと、前回の映画を観たくらい。
この映画の世界には現代のような精神医療の概念や知識はないものと思って観て欲しいと友人に言われたので、そのように観た。それでも衝撃的な部分はあるが、面白かった。
激しい心象が映像に反映されており、演劇的で前衛的な映画だった。
目まぐるしく激しい内容でとても疲れるので、DVDなどが出たら改めてゆっくり咀嚼したい。
新国立劇場にて。
ヴェルディのオペラって、人間関係が複雑でストーリーが骨太で好き。人間味があるんですよね。褒美は何が良いか聞かれて捕虜の解放を願ったのは人道的な判断だと思うけれど、あのときアイーダが欲しいと願っていれば拗れなかっただろうなと思う。でも、それがラダメスの良いところなんだよね……とも思う。
それにしても、アイーダは2幕を観るためだけでも劇場に足を運ぶ価値がある。多幸感。不況が続き、日本は貧しくなったと言われるけれど、とこしえにこのような華やかで煌びやかな舞台を観られる世界であって欲しい。
時代が近いせいか、若くして認められながら夭逝し活動期間が短いせいか、画家の人生が生々しく感じられる展示だった。周囲の人物や時代の変化に影響を受けていく等身大の変化が見てとれた。
透明感のある色彩センスにこだわりを感じる。ドローイングがとてもオシャレ。
早熟だけど、完成した人というより、長く生きていればきっとあと何段階か変化があった人だと思うので、ここからというところで亡くなってしまい残念に思う。
春祭ワーグナーシリーズ。
マイスタージンガーの前奏曲っていろんな場所で聴く気がするのだけど、実際にどこで聴いたかは記憶がない、不思議。
一人一人のキャラクターが濃く案外俗っぽいので面白い。ずっと誰が大会で優勝して美女と結婚するかって話でもめてたのに、最後急ハンドルでドイツの神聖な芸術に敬意を払え!!ドイツ万歳!!になるから驚く。
気取ったことを言っているけど、どちらにせよ酒場の親父さん達って感じかもしれない……。
ミュージカル『Endless SHOCK Eternal』
エンターテイメントのひとつの極致。ジャニーズの人って空を飛ぶと思っていたので、まさしくそれで嬉しかった。テレビでは見たことがあるパフォーマンスだったけど、目の前にくるとやはり興奮するし、特別な体験だった。
私はヒロイン・リカ役の中村麗乃ちゃん目当てだったので、ファンクラブ先行もなくこのチケットを手に入れるためにだいぶ苦労したが、経験としてとてもよかった。
ストーリーはちょっと色々……よく分からないところや驚くところもあったけど(Eternalで端折ってるせい?)、細かいことが気にならないくらい、キラキラして夢みたいな時間。
女の子のアイドルも男の子のアイドルも好きだから、可愛い男女のペアダンスとか本当はたくさん観たいのだけど、なかなか観られないので、貴重な供給だった。もっとこういう演目があればいいのにな。テレビとかでも、観られたらいいのにな……。
渋谷松濤美術館/エドワード・ゴーリーを巡る旅
中学生のころに好きだったエドワード・ゴーリー。ダークで不条理な世界観の絵本作家。ナンセンスな言葉のセンスに洒脱感があって、日本語の翻訳がまた秀逸だと思う。
緻密な仕事に宿る矜持や、彼自身の生活や人生に根差す美意識を肌で感じられたことがよかった。バレエが好きだとは知らなかったけれど、バレエ関連の仕事もシニカルなスタイルそのままにこなしていた。バレエでつま先立ちをするのはこの世ならざる者の浮遊感を表現するため、と聞いたけれど、そういうところがゴーリーの感性と合っていたのかもしれないなと想像したり。実際はどうか分からないけど。
展示替えもあるし、開催期間中にもう一度くらい行きたい。
ミュージカル『GYPSY』
ジプシー・ローズ・リーの回顧録を基に、その母ローズに焦点を当てたミュージカル。大竹しのぶさんが主演で、生田絵梨花さんは娘のルイーズ(=ジプシー・ローズ・リー)を演じる。
母ローズは「究極のステージママ」という言葉から想像される何十倍もの猛毒を持つ女性で、観ていてずっと恐ろしかった。大竹しのぶさんのチャーミングでパワフルな演技が、底知れないエネルギーを感じさせて恐ろしい。
自分が叶えられなかった夢を娘に肩代わりさせて、理想を押し付けて支配下に置いて、あなたのためと言い放つ呪い。悍ましい所業を淡々と美化せずに描く眼差しの冷徹さ、空気の粘度。どんなに好き放題振舞っても、結局自分自身に向き合わないまま「子供のため」だと信じて「努力」してきたから、いつまでも本心は飢え、欲望は渇いているし、自分には何もないと思ってしまう。そういう虚しさは、多くの人が持ちうるものだし、最後に「同じサイズの服を着て隣に並ぶ」母子の姿は、ようやくその視座を得たということなのかな、と思った。その後の悪びれない様子から、きっと彼女は今後も変わらないだろうと思うけれど、堂々としたその佇まいはどこか憑き物が落ちたような爽やかさもあった。
生田絵梨花さん演じるルイーズは、幼い頃は母の寵愛を受ける妹の影に隠れて蔑ろにされてきた姉娘。キッズショーに出るために10歳から何度誕生日を迎えても10歳のままの小さな娘として扱われ、学校にも通わない彼女は年よりもずっと幼く見える。母の愛を渇望しながら妹に嫉妬するわけでもなく、一人空想の世界で満足している姿はいじらしく痛々しい。そんなルイーズが、徐々に自我を獲得していく様や、バーレスクでの公演からストリップショーに出ることになり刻々と変化し開花していく様は目を瞠るものがあった。これほどまでに振り幅のある役を、一人の人格として一貫性を持ったものとして魅せていて、素晴らしかった。彼女の気品が、貴婦人ルイーズが魅せる「エクディジアスト」としてのパフォーマンスに説得力を持たせていた。
全然いい話なんかじゃない、だけどいい話として描いていないからこその思い切りの良さを感じる作品。美化されない等身大の人間の生き様がただそこにあった。